「僕みたいなチャレンジャーなワーホリは絶対いないと思います!」茶目っ気たっぷりの大樹くんは笑う。留学斡旋センターのミスでバンクーバーに間違えて来たのを皮切りに、その後もウィスラー、イエローナイフとスリル満点の8ヶ月を送った。今回は、復学のため来月の帰国を目前にした新塘大樹くんにカナダでのワーホリ経験について話を聞いた。(文・編集部 写真提供・新塘大樹)
僕の人生で一番チャレンジしたこと
イエローナイフで2ヶ月半過ごしたんですよ!カナダに来たからには、オーロラガイドになりたくて、イエローナイフでの仕事を探したんです。ウィスラーでの語学学校が終わってから、オーロラツアー会社に電話をかけまくって、ようやく15社目くらいにヒットしました。やっと面接までこぎつけたものの・・・結局、21歳って若すぎるって断られましたね。ガイドさんって、もうちょっと経験値の高い人がする仕事のようで。でも、イエローナイフに行く夢は諦めたくなかったんで、断られた時に、他にできることはないですか?って聞いてみたんです。そしたら犬ぞりツアーガイドだったらあるよ〜と言ってもらって。犬ぞりなんて想像もしてなかったですね。犬ぞりって、あの南極探検隊たちの犬ぞりくらいしか頭に思い浮かばなくて。でもその場で「お願いします!」って言ってしまいましたね。
そこでイエローナイフでのお仕事が決まったわけですね。初めてのイエローナイフはどうでしたか?
飛行機からの眺めは凍った湖に寒そうな林が生えてるだけでした。「こんなとこ、人、住むもんじゃないだろ、なんもないし、ただ寒いだけだろ!」と言うのが正直な第一印象。住めば都とも言いますが、仕事がなければ、すぐにでもウィスラーに戻りたかったです。娯楽がまずないんですよね。クラブっぽいパブが近場に一軒あって、友達を作ろうと思って行ってみたんですが、中に入ったら、僕の親くらいの年齢層の人が踊っているのを目の当たりにして・・・。みんな社交的で、お酒とかも奢ってくれてすごく嬉しかったんですが、インスタ交換まではちょっと繋がらなかったですね。
犬ぞりのお仕事は?
楽しかったです。でも過酷でした。犬ぞりって、凍った湖の上でやるんですよ。湖の氷が仕上がるのは、外がマイナス30度くらい。極寒の中、犬を20匹くらいトレーラーにつなげて、観光客たちを引っ張る。犬たちのスピードも早くて、時速25kmは出ます。マイナス30度の中、時速25kmで30分も走られたら、京都で育った僕には想像もできない寒さでしたね。
しかもガイドさんなので同時進行で説明もしないといけないですよね?
そうなんです。仕事が忙しい分、極寒でも寒さを感じてる暇がなかったです。だから知らない間に凍傷になってることがあるので、それを防ぐためにもスタッフ同士で症状が出ていないか確認し合う必要がありました。でも英語は鍛えられましたね。英語のお客さんも来たので、絶対に英語!嫌でも英語という状態でした。あと犬ぞりの説明以外にも、犬をそりに繋げたり、お客さんをそりに乗せたり、あと犬が200匹くらいいたので、犬の食事や掃除といった世話もしていました。
忙しい毎日だったようですが、イエローナイフなのでオーロラも見ましたか?
見ましたよ!感動しすぎて言葉にはできなかったです。僕、本当に、イエローナイフに行って良かったですよ!だって21歳にして、思いきって極地に住んで、犬ぞりツアーガイドして、人とは違う面白い経験したんで、それが自分への自信につながっています。
その自信はすでに次のステップへ
実は先月仕事の面接に日本へ戻っていました。パイロットになりたくて、2次試験のために羽田空港まで受験しに。結果はどうあれ、将来はパイロットになるか、建築関係の仕事につくか、どちらかを考えています。4月には大学に戻るんで、その後は視野を広げるためにも社会人経験はしておきたいと思っています。
苦労話でさえも、ネタとして、笑い話にしてしまう大樹くん。取材中は、終始笑いが絶えることはなかった。新しいことにチャレンジしていくそのエネルギーの源には、逆境をも簡単に笑い飛ばせる力があるのだろう。今後の活動が気になる人は、ぜひ大樹くんのYoutubeをフォローしてほしい。