「ワーホリ」で馴染みのあるワーキングホリデー。ワーホリビザを使って現地で働くことで、英語力を伸ばしながら安く留学を体験できることが売りの留学方法。だが実際のところ「本当に海外で働けるの?」と疑問に思う人も少なくはないだろう。今回、ワーホリビザの期間を4ヶ月残して帰国を決めた久保円香さんに、彼女の留学体験について話を聞いた。(取材 高橋星乃夏)
カナダに留学する前に描いていた目標やビジョンはありますか?
ー将来、英語を使って仕事がしたいと思っていたので、そのためにまず英語を勉強することにしました。アメリカ英語を学びたかったのですが、ワーホリビザが取れる国の中ではカナダが一番アメリカに近い英語が学べると思ったので、カナダに決めました。また海外の人々のフレンドリーなマインドや、日本とは違う考え方に触れることで、文化を学びたかったのも、ここに来た理由の一つです。
渡航先を選んだ明確な理由があったんですね。留学生活は想像通りでしたか?
ーいえ、ギャップはありましたね。トロントに留学に来る方は必ず感じることだと思いますが、とにかく日本人が多いです。日常生活を英語で送りたかったですが、日本人は日本人同士で固まりがちで、自分から積極的に動かないと、英語環境に自分を置くことは難しかったです。
英語環境に関してギャップを感じることが多かったようですね。仕事の方はどうでしたか?
ー仕事探しも想像とは違いましたね。半年間の座学期間で英語力を磨いて、残りの半年で仕事を見つけて働くのが目標でしたが、なかなか上手くいきませんでした。渡航前は、仕事が上手く見つかる前提でエージェントから説明を受けていて、仕事探しが上手く行かなかった際の想像などはしていなかったのです。いざ仕事探しに困ったときに学校やエージェントに相談した際に、仕事の紹介はないと言われてしまい、渡航前に想像していたよりも、キャリアに対するサポートははるかに少なかったです。
ビザを4ヶ月残して帰国を決めたのは仕事探しに苦労したからでしょうか?
ーそうですね。コロナに感染して学校を休んでいたことや、パスポートの期限の関係で、学校を卒業した時点で働ける期間が5ヶ月弱ほどしか残っていませんでした。カナダに来てから「半年以上のビザが残っていないと仕事が見つかりにくい」と周りから言われたのですが、自分が仕事探しを始めるまでそれも知りませんでした。ビザの残り期間が少ない中見つけた日系のレストランで働き始めましたが、職場のルールが自分に合わないと感じ、1ヶ月ほどで辞めてしまいました。そして自分がカナダに滞在できる残りの4ヶ月では、仕事を見つけるための期間が少ないと判断したため帰国を決めました。
苦労が多かったようですが、留学したことに後悔はないですか?
ーないです。英語環境や仕事探しに関しては上手くいかなかったこともありましたが、帰国後にやりたいことを見つけられたので、トロントでは良い経験ができたと思っています。
帰国後にやりたいこととは?
ー仕事を探している期間に、友人の紹介でカフェのバリスタの仕事のトレーニングを受ける機会がありました。ビザの残りの期間が少なかったので雇ってもらうことはできませんでしたが、お客さんがトレーニング中の私に「頑張ってね!」と声をかけてくださったり、日本のカフェの雰囲気とは違う、お客さんと店員同士のラフでフレンドリーな空気を魅力的に感じ、バリスタの勉強をしたいと思いました。帰国後は日本のコーヒーショップでの就職が決まっています。
カナダで日本の就職先を見つけたんですか?すごいですね!
ー最近はコロナ拡大の影響でオンラインで面接を受けられるところも多いので、就職サイトなどから条件を絞って探して、面接から採用まであまり時間はかからなかったです。帰国後すぐに働けることやそのお店で働きたいと強く熱意を伝えたところ、暖かく受け入れてくださいました。帰国後の仕事も楽しみです。
留学経験者の中には、留学エージェントに説明された留学の概要と実際の経験との間でギャップを感じる人も多いようである。ワーキングホリデーやCoop留学などの、就労期間を含む留学を検討中の場合は事前の情報収集が必須である。(写真提供:久保円香さん)