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Tag: 芸術とカフェの街 オーストリア・ウィーンより

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ウィーンのカフェのクリスマス

 前回はオーストリアのクリスマス時期に食べられるクリスマスクッキーを紹介しましたが、今回はカフェのクリスマス。一年で一番大切な行事だけあって、ウィーンのカフェも気合いの入り様が違います。  クリスマスといえば欠かせないのがツリーですが、いくつかのカフェの前には美しいクリスマスツリーが立ちます。こちらのクリスマスツリーは、本物の木を使用している事が多く、カフェの前やクリスマスマーケットのツリーももちろん本物!素敵なクリスマスの思い出になる記念写真も撮れますよ。 カフェラントマンの前のカラフルなクリスマスツリー カフェツェントラルのクリスマスツリーはクラシックな美しさ  街中イルミネーションで輝くウィーンですが、カフェもイルミネーションやクリスマスデコレーションで飾られます。 デメルがあるコールマルクトのイルミネーション  ショーウィンドーの飾りや、この時期にしか販売されないクリスマスグッズも要チェック!カフェの飾りやショーウィンドーを見ながら、歩いているだけでも楽しめます。 カフェザッハーもクリスマスデコレーションで飾られます 歩行者専用ゾーンにあるカフェスルッカは建物全体を使ってデコレーション レープクーヘンで飾られたメルヘンチックなゲルストナーのショーウィンドー お菓子の家やクリスマスクッキーが飾られたゲルストナーのウィンドー カフェハイナーのショーウィンドーにもお菓子の家が  12月に入ってからクリスマスまでをカウントダウンしながら開けていく、アドベントカレンダーを売りだすカフェもあり!中身はチョコレートやレーブクーヘン、クリスマスの飾りなど種類によって様々です。パッケージもかわいいし、中から何が出てくるのか分からないので、毎日ワクワクドキドキ感を味わえます。 ゲルストナーの豪華なアドベントカレンダー かわいいパッケージのスルッカのアドベントカレンダー かわいいパッケージのスルッカのアドベントカレンダー  クリスマス時期にしか販売されないカフェスイーツもあります。ドイツ発祥のシュトーレンは、ウィーンでも人気。それぞれのカフェの自家製のレシピで作られています。 ハイナーのアーモンドシュトーレン  レープクーヘンもよく見かけるクリスマス時期のスイーツですが、食べてしまうのがもったいない&そのままプレゼントにも出来る素敵なものもあります。 デメルの職人技が光るレープクーヘン デメルの職人技が光るレープクーヘン クリスマスツリー型に仕上げられたゲルストナーのレープクーヘン  クリスマス時期限定のパッケージも登場!プラリネやチョコレートが入っている事が多いのですが、この時期にしか手に入らないデザインです。 デメル ゲルストナー オバラー 紙製の箱ではなく、缶のパッケージもあるオバラー  2回に渡りウィーンのクリスマスをカフェの話題を中心にお届けしましたが、ウィーンでは多くのクリスマスマーケットが開催されます。市庁舎前広場や、世界遺産のシェーンブルン宮殿、世界遺産の旧市街地の中でもたくさんのマーケットが開かれ、とても華やかです。もちろんそれぞれの場所にある美しい建物や雰囲気も素敵ですが、食べ物や飲み物も充実しています。機会があれば、是非ウィーンに遊びに来てみて下さいね。 世界遺産の旧市街、グラーベン通りのクリスマスイルミネーション

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ウィーンのクリスマスに欠かせないクリスマスクッキー

 時が経つのは早いもので気が付けばもうすぐクリスマス。ウィーンでは11月中旬からクリスマスマーケットが始まり、街中のイルミネーションも輝き始めます。カトリック教徒が多いオーストリアでは、クリスマスは一番大切な行事です。日本では「骨付きチキン」や「デコレーションケーキ」がクリスマスに食べるものとして一般的ですが、オーストリアではいつもと違う特別なものということで「魚」を食べる家庭も多いようです。日本では日常欠かせない魚ですが、海のないオーストリアは以前はスーパーにスモークサーモンしかなかったり、あってもサーモンの切り身だけだったりという状況でした。それがクリスマス時期になると普通のスーパーにも魚、しかも鯉が並ぶのはとても驚きでした。近年でこそウィーンのスーパーでも鮮魚を扱っていますが、クリスマス前はやはり鯉が並びます。だからと言ってどの家庭でも魚を食べるわけでもなく、それぞれの家庭で色々なメニューが食卓に上がります。  でも、ほとんど全部の家庭で食べられているものと言っていいのは「クリスマスクッキー」!日本のお正月に食べられる「お節料理」と同じようなもので、基本のクッキーが何種類かあり、それぞれの家庭で受け継がれているレシピがあり、クリスマス前になるとおばあちゃん、お母さん、娘、子供たちを中心に何種類もたくさん作ります。クリスマス前から年明けまで食べ続けるのと、プレゼントや手土産として他の人にもあげたりするので、1種類につきレシピはキロ単位だったりもします。その種類は各家庭で多少違いますが、アーモンドプードルを混ぜたクッキー生地を三日月型に形成しバニラシュガーをまぶした「バニラキプフェル」や、間にジャムを混ぜた「リンツァーアウゲン」などが代表的なものです。興味のある方は以下のリンクからレシピも見られますので、是非作ってみてください。 工房の中に並べられたバニラキプフェル、デメルにて クリスマスのお菓子、バニラキプフェル (austria.info)リンツァーアウゲン・クッキーのレシピ ➢ 作り方 (austria.info)レシピ:シナモンの星クリスマスクッキー (austria.info)  ウィーンのカフェでも、それぞれのカフェオリジナルのクリスマスクッキーがかわいいパッケージに入って販売されます。もちろんクリスマス時期の期間限定!たくさんの種類のウィーンのクリスマスクッキーと、カフェのかわいいパッケージをお楽しみください。 デメルのレーブクーヘンで出来たお菓子の家。まさにメルヘンの世界! パッケージ詰めされたバニラキプフェル、デメルにて デメルの職人技が光るレーブクーヘンのクリスマススター ザッハーのクリスマスクッキー ゲルストナーのクリスマスクッキー ゲルストナーのクリスマスクッキー ゲルストナーのクリスマスクッキー コンディトライオバラーのショーウィンドーに並ぶクッキーたち。 コンディトライオバラーのショーウィンドーに並ぶクッキーたち。 天使のパティシエが作っているのもバニラキプフェル。 コンディトライオバラーのショーウィンドーに並ぶクッキーたち。  このようにどこのカフェでも、オリジナルのクリスマスクッキーが並びます。カフェだけではなく、パン屋さんやスーパーなどでも色々な種類のクリスマスクッキーが販売されています。色々買って食べ比べても楽しいですし、この時期にウィーンに来られることがあればお土産にもお勧めです。 大きなクリスマスツリーが飾られて、ライトアップされたシュテファン大聖堂

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優雅なひと時を楽しめる宮殿内にあるオーストリア皇室ご用達カフェ「ゲルストナー」

 前回、国立オペラ座や楽友協会の中に入っていると紹介した皇室御用達カフェのゲルストナー。1847年創業で、現在はオペラ座の横に建つトデスコ宮殿の中にお店を構えています。 【前回のコラムはこちらから】・ウィーンの音楽とカフェ文化 宮殿そのままの雰囲気の中、優雅なカフェタイムが楽しめます  この宮殿は1864年に建設されたもので、当時はザッハートルテを考案したフランツ・ザッハーの息子エドワード・ザッハーが経営するデリカテッセンとレストランが地上階に入っていました。今ではゲルストナーだけではなく、ブティックや靴屋さんなどいくつかのお店が宮殿の建物内に入っています。ゲルストナーは宮殿の一角、3フロアに入っていて、地上階はショップとカウンター席、1階はスパークリングワインバーとカフェ、2階はカフェ・レストランになっています。 一番豪華なのは2階(日本式にいうと3階)。宮殿の部屋そのままの雰囲気を残し、天井や壁紙もとても豪華です。 どの部屋もとても素敵な2階部分。シャンデリアもとても豪華です  エントランス部分には自動演奏のグランドピアノが置かれ、そこからは心地良い音楽が流れています。真ん中にはケーキなどが並ぶショーウィンドーが設置され、素敵なスイーツやスナックが並んでいます。 ウィーンの伝統的なケーキをはじめ、カップケーキやマカロンまで多くの種類のスイーツが揃っています  このフロアのカフェ部分はいくつかの部屋に分かれているので、イベントなどで貸切ることも可能。窓からはオペラ座やザッハーホテルなどウィーンらしい風景が楽しめます。 ゲルストナーの2階窓から見たオペラ座とホテル/カフェザッハーの建物  ケーキやコーヒーだけではなく、朝ごはんやランチメニュー、ブランチメニューなども揃っていてお食事や軽食などをもいただけます。 ゲルストナーのロゴが入った素敵な食器はショップで購入も可  その下の1階はオーストリアのスパークリングメーカー、Schlumbergerのバーがあるほか、ゆっくりとカフェタイムを楽しめる落ち着いた雰囲気のスペースになっています。こちらのフロアにも小さなケーキのショーウィンドーがあり、スイーツを見て選べるようになっています。こちらのフロアでも、お食事ができます。 落ち着いた雰囲気の1階部分  地上階は小さなカウンター席と、広いショップスペースになっています。 明るく開放的な地上階ショップ部分。たくさんの商品が並んでいます  ケーキだけではなくプラリネやチョコレート、マカロンなど素敵なパッケージに入ったスイーツ、Schlumbergerのスパークリングワインとスイーツのセット、シシィ(オーストリア皇后エリーザベトの愛称)が好んだと言われるスミレの花の砂糖漬けなどが売られています。バレンタイン、イースター、クリスマスなど季節ごとの限定商品もとても豊富で、見ているだけでもかわいい商品がたくさん!プレゼントやお土産探しにもお勧めの商品が揃っています。 かわいいパッケージのキャンディーやチョコレート グラム売りしているプラリネ各種。箱入りもあります  夏にはアイスクリームコーナーも登場。スミレとホワイトチョコレートのジェラートは、私もとてもお気に入りです。 夏季には歩道に面してアイスクリームカウンターがオープン!  また夏季限定で宮殿の中庭には静かなテラス席も設置され、中心地にありながら緑に囲まれた静かで落ち着いたカフェタイムを楽しめます。 静かな中庭テラス 中庭から外に続く通路は昔は馬車の通り道でした。外に見える建物はオペラ座  伝統と歴史を感じられるウィーンのカフェの1つですが、宮殿の豪華な雰囲気も相まって優雅なカフェタイムを楽しめる事間違いなし!のおすすめカフェです。発送は基本的にヨーロッパ内だけですが、ウェブサイトでもオンラインショップがあり、その素敵な商品をチェック出来ます。宮殿内の写真も載っていますので、雰囲気だけでも覗いてみて下さいね。 ゲルストナーウェブサイトはこちら

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ウィーンの音楽とカフェ文化

 音楽の都といわれるウィーン。モーツァルト、ベートーヴェン、シュトラウス、シューベルトなど世界的に有名な音楽家たちとの関わりも深く、市内では彼らゆかりの場所を多く見ることが出来ます。歴史上だけではなく、現在も活躍している著名な音楽家の演奏を聴いたり、指揮を見たりする機会も多くあり、路上や駅構内などで演奏しているミュージシャンも含め、本当に音楽が深く根付いている場所であることを日々感じられる街です。 オペラ座近く、王宮敷地に内にあるブルク公園に建つモーツァルト像。前の芝生にはト音記号を象った花が植えられています  市内には国立オペラ座や楽友協会など数多くの劇場があり、毎日のように多くの場所でコンサートやオペラが上演されています。観光客向けのコンサートは年間を通して開催されていますが、通常のシーズンは毎年9月~翌年6月までです。 ウィーン国立歌劇場  7月8月は夏休みですが、特別コンサートが開催されたり、市庁舎前の広場では7月1日~9月始めまで大きなスクリーンと約3000の座席が設置され、毎日のように無料で音楽プログラムが上映されています。 市庁舎前に設置された大スクリーンで毎晩オペラやバレエ、コンサートが楽しめるフィルムフェスティバル  他にも夏休み中は城跡や湖上など野外でのオペラ上演が国内の多くの場所で開催されていて、劇場とは違う雰囲気のオペラを楽しめます。 野外オペラ会場の1つ、サンクト・マルガレーテン。ローマ時代の石切り場を利用した大スケールの会場  オーストリア第二の都市、ザルツブルクでは、毎年夏に開催される音楽祭が知られています。世界的に有名な歌手や指揮者、オーケストラの演奏によるオペラやコンサートプログラムが用意され、世界中からのオペラ・音楽ファンで賑わいます。 ザルツブルク旧市街にある音楽祭のメイン会場前。遠くに見えるのは1000年以上の歴史を誇るホーエンザルツブルグ城塞  9月はオーストリアでも新学期ですが、音楽シーンのシーズンが始まる時期でもあります。国立オペラ座は毎年シーズン初めに Open door Day があり、ステージ裏や衣装、ステージセットなど普段は立ち入れない場所にも入れてオペラ座を深く知ることが出来る日となっています。 オペラ座の Open day では衣装なども展示され、ステージ裏を身近に感じられます  音楽の事をたくさん書きましたが、ここはウィーン。カフェ文化が無形世界遺産として根付いている場所では、音楽シーンでもカフェ文化は切り離せません。どの劇場にもカフェが入っていて、公演前や幕間にドリンクやスナック、そしてスイーツを楽しめるようになっています。 テーブル席が並ぶオペラ座内のホールの様子 テーブル席が並ぶオペラ座内のホールの様子  国立オペラ座や楽友協会に入っているのは、伝統的老舗カフェ、そして皇室御用達カフェのゲルストナー。ワインやオープンサンドイッチなどのスナック、ウィーンの伝統的なケーキやプチフール、マカロンやコーヒー、紅茶などカフェメニューも揃っています。 ストロベリーのチョコレートがけ オープンサンドイッチのミニサイズ盛り合わせ。シャンパンなどに良く合います チーズやスモークサーモン、ローストビーフなどが乗ったオープンサンドイッチ 予約も可能で、事前に頼んでおくと休憩時間に合わせて用意されています  人々は開演前に劇場内の雰囲気を楽しんだり、幕間に公演の感想を話合ったりしながらドリンクやスナックを楽しみます。ウィーンでは、オペラシーンでもカフェは欠かせないものの1つです。オペラ座内には常設のカフェもあり、こちらは公演時だけではなく、普通にカフェとして1日中誰でも利用することができます。春から秋にかけてはテラス席も設置され、道行く人々を眺めながらゆっくりとカフェタイムを過ごせます。 天井が高く解放感溢れるオペラ座内のゲルストナーカフェ 幕間にちょっと甘いものが欲しい時に嬉しいミニサイズのスイーツ

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夏におすすめ!テラスが素敵なカフェ「SKY Cafe Restaurant BAR & ROOFGARDEN 」

   「カフェ ザッハー」、「デメル」と伝統的なウィーンのカフェをご紹介してきましたが、ウィーンにはモダンなカフェもたくさんあります。その中から今回ご紹介するのは「Sky Cafe Restaurant &ROOFGARDEN」。その名前から想像できるかもしれませんが、デパートメントストアの最上階にある見晴らしのいいお店です。室内席だけではなく、夏の暑い時にも日陰を作ってくれる大きなオーニングやパラソルのある広々とした心地いいテラス席もこのお店の魅力ポイントの1つです。 解放感溢れるテラスから眺めるシュテファン大聖堂  お店からは、ウィーンの街の中心にあるシュテファン大聖堂が真正面に見えます。世界遺産になっているウィーンの旧市街内にあり、シュテファン大聖堂からは徒歩5分ほど。とても便利なロケーションなので移動や観光中にも気軽に立ち寄れます。そしてそんな街の真ん中にありながら、テラスでは街の喧噪とはかけ離れたゆったりとした時間を過ごせます。 カフェとしてだけではなく、レストランやバーとしても利用出来て、朝ごはん、軽食、スナック、しっかりとしたお食事まで多くのシーンで利用出来るメニューが揃っています。 朝食メニューの1つ「エッグベネディクト」にはベーコンも乗っています。 軽く食べたい時のチキンタコス ヘルシーなサーモンとキヌアのボウル  メニューは季節ごとに旬の食材や季節に合わせて変わりますし、お腹の空き具合や、目的によって色々なサイズやボリュームのメニューが用意されているのも嬉しいです。今回は登場しませんが、もちろんケーキもありコーヒーや紅茶などと一緒にカフェタイムを楽しむ事もできます。  このカフェは長いあいだ営業していて以前から素敵なテラス席がありましたが、数年前にオーナーが変わり、テラス部分が拡張されました。現在のオーナーは有名なホイリゲ Mayer am Pfarrplatz の経営者です。ホイリゲとは自家製ワインを作ってお食事と一緒に提供するレストランのことですが、オーナーが変わってからは、そのホイリゲの自家製ワインも多く提供されています。 素敵な景色を眺めながらの1杯は格別  Mayer am Pfarrplatz は市内に数店舗を展開していますが、オリジナルのお店は市内中心地から9kmほど離れたハイリゲンシュタットにあります。ウィーン市内にありながらブドウ畑が広がり、多くのホイリゲが点在しているエリアです。現在そのホイリゲが入っている建物は、ベートーヴェンが1817年に短期滞在していた家です。56年の人生の中で35年をウィーンで過ごしたベートーベンですが、何度も引っ越しをしたためウィーン市内でも数多くのベートーヴェンの軌跡を辿る事ができます。ハイリゲンシュタットはその中の1つで、このエリアにも多くのベートーヴェンゆかりの場所や物が残されています。 ハイリゲンシュタットのMayer am Pfarrplatz店頭に掲げられたベートーヴェンの家の看板と、ホイリゲの目印となる逆さまに吊るされた木の枝  話が少しそれましたが、そんなホイリゲで造られたワインも多く楽しめる Sky Garden に話を戻します。メニューには、ワインに合うお食事やおつまみも色々用意されていますし、オリジナルカクテルやドリンクなどの種類も揃っています。 花とフルーツが飾られたスムージー イチジクとドライトマトが載ったミニオープンサンド  夜遅くまで営業しているので、夕焼けや夜景までロマンティックな時間も楽しめますし、オペラやコンサート後にゆっくりと余韻を楽しみに行くことも出来ます。様々な目的や時間帯で楽しめる場所ですが、いつ誰とどんな目的で行くにしても、やはり一番のおすすめポイントはこの絶景!私もたまに見に行きたくなるとても素敵なお店です。 暗くなるとまた違うロマンティックな雰囲気も楽しめます。 SKY Cafe Restaurant BAR & ROOFGARDENのオフィシャルサイト

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豪華な内装&手作りのスイーツの繊細さがたまらない伝統的なカフェ「デメル」

 1786年創業の老舗カフェ「デメル」は、前回ご紹介した「カフェザッハー」と共にウィーンを代表するカフェです。世界遺産の旧市街の中にある美しいコールマルクトに面していて、観光客の列が絶えることはありません。ウィーンのカフェの種類 ~「ウィーンの伝統的なカフェ」とは~でご紹介しましたが、デメルは「皇室と王室」を表す「K.u.K」が付いた皇室ご用達カフェで、今でもお店の看板やウェブサイトには「K.u.K」が付いています。 デメルの看板とドーム型の王宮の屋根  このカフェのザッハートルテは、カフェザッハーのザッハートルテと「どちらがオリジナルか?」という問題で裁判にまでなったこともありますが、時代は流れ、今ではウィーンのほとんどのカフェで「ザッハートルテ」を食べることができます。以前はカフェザッハーのものは真ん中に杏ジャムが挟まっていて、デメルのものは挟まっていなかったのですが、コロナ明けになんと杏ジャムが挟まったものに変わっていました。それでもレシピが違うので、同じ名前のケーキでも、カフェザッハーとはまた違う味が楽しめます。 デメルのザッハートルテ。スポンジの柔らかさ、しっとり加減、チョコレートの厚さや柔らかさなどお店によって違いあり  コロナ禍でテイクアウトのみの営業期間がありましたが、その際にはウィーンを代表するデザート「カイザーシュマーレン」の実演販売、そして小さなカップに入れての販売を開始!これが大人気になり、観光客がいないのに行列が出来ていました。今でもカイザーシュマーレンの実演販売とテイクアウトは継続中。カイザーシュマーレンはバターたっぷりのパンケーキを小さくちぎり、プラムのジャムと粉砂糖をかけていただくものです。レストランなどでも提供されていますが、コロナ中のデメルの新しいビジネスアイデアは大当たりでした。 お店の外からカイザーシュマーレンを作っている様子が見られます  伝統的なザッハートルテのレシピを変えたり、新しいアイデアを生み出し進化している老舗カフェデメルですが、もちろん老舗の伝統は受け継がれています。パティシエたちが作り出す美しいケーキは、ショーケースに並んでいます。 ケーキが並ぶ店内のショーケース  店内にはザッハートルテだけではなく、オーストリアの伝統的なケーキがたくさん揃っています。そしてデメルは新年やイースター、クリスマスイベントごとに期間限定のスイーツを作ります。これが菓子職人の技と、老舗カフェの伝統を感じられる素晴らしい作品で、まるで芸術作品! クリスマスと母の日のハンドメイドレーブクーヘン。 繊細で美しいデザインはまるで芸術品  夏季には王宮を望めるコールマルクトにテラス席が出ますし、ジェラートも販売されています。 デメルのテラス席  ケーキだけではなく、朝ごはんやお食事メニュー、軽食もあります。またコロナ中に改装してからは、ベーカリーも併設。バゲットやクロワッサン、パンオショコラなども販売しています。店内にはショップもあり、上述のスイーツやかわいいパッケージに入ったチョコレート屋クッキーなどお土産に喜ばれる商品もたくさん揃っています。人気の猫の舌の形をしたチョコレートや、シシィの愛称で親しまれるエリザベート皇后が好んだと言われる「スミレの花の砂糖漬け」もお土産に人気です。 カフェ内に併設のショップエリア。 パッケージもかわいい商品がたくさん!  ウェブサイトだけではなく、インスタも開設しているので美しい内装やスイーツなど気になる方は是非覗いてみて下さい。ウェブサイトインスタグラム

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ウィーンの「コーヒー」

 「コーヒー」と聞いてみなさまは何を思い浮かべますか?  もちろん人それぞれですが、国によっても「基本のコーヒー」に対する認識が違うのです。カナダに行った時に驚いたのは「コーヒー」と言うと、お湯が多めで薄いコーヒーが基本だったこと。日本でいう「ブレンドコーヒー」と同じ感じか、もっと薄い感じでビックリしたのを覚えています。ちなみにイタリアでは「un caffè」と頼むと、「エスプレッソ」が出てくるのが基本です。では、カフェが無形文化遺産になっているウィーンでは、どんなコーヒーが基本なのでしょうか?  答えは「メランジェ」です。  「メランジェ」という言葉を聞いた事がない方が多いかもしれません。そして「あれ、ウィンナーコーヒーじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。実はウィーンのカフェにはたくさんの種類のコーヒーがあります。今回はウィーンのカフェで楽しめるコーヒーを色々紹介したいと思います。  まずは基本の「メランジェ」  メニューには「Wiener Melange(ウィンナーメランジェ)」と書いてあることが多いです。エスプレッソと同量の温かいミルクを混ぜ、その上にミルクを泡立てたものや甘くないホイップクリームを乗せているものです。 ウィーンのカフェの基本のコーヒー「メランジェ」。シルバーのトレイに水と一緒に乗せられて提供されるのが基本です お店によってはホイップクリームが乗ってくるメランジェもあり  メランジェのエスプレッソを薄くしてホイップクリームを乗せたものは「Franziskaner(フランツィスカーナー)」と呼ばれます。  次に良く飲まれているのが「Brauner(ブラウナー)」  小さめのカップにエスプレッソと少量のミルクを入れたものです。ミルクは自分で混ぜるように別添えの小さな容器に入れられてくるカフェが多いです。「Brauner」とは「茶色」という意味で、ミルクが混ざっていない(付いてこない)エスプレッソは「黒」を意味する「Schwarzer(シュワルツァー)」と呼ばれます。ワンショットのエスプレッソは「小さい」を意味する「Klein」を付けて「Kleiner Brauner」、ダブルショットのエスプレッソは「大きい」を意味する「Gross」を付けて「Grosser Brauner」となります。お店によってはBraunerではなく「Mokka(モカ)」と呼ぶ事もあります。 「クライナーブラウナー」の基本。別添えのミルクもちゃんと温めてあります 泡立てたミルクを乗せて提供するお店もあります。自分で調整したい場合は頼むと別添えで持って来てくれます  日本でも親しまれている「Caffe Latte(カフェラテ)」。これはお店によっては「Latte Macchiato(ラテマキアート)」と呼ばれている事もありますが、どちらもエスプレッソにミルクをたっぷり入れたものに、泡立てたミルクが乗って来ます。そして背の高いグラスに入って提供されます。同じような配合でカップに入れられて提供されるのが「Cappuccino(カプチーノ)」です。 伝統的なカフェでは、カフェラテもシルバーのトレイに乗せられて運ばれてきます カプチーノはラテアートをしてくれるカフェも増えてきました。お店によってはカフェラテもカップで提供される時があります  そして私が一番ウィーンらしくて好きなコーヒーが「Einspaener(アインシュペーナー)」です。ダブルエスプレッソの上に甘くないホイップクリームをたっぷり乗せたもので、これがいわゆる「ウィンナーコーヒー」に一番近いものと言われています。近年は背の低いグラスに入れられて提供するカフェが増えていますが、専用のアインシュペーナーグラスに入れられて提供されるのが伝統です。 伝統的なアインシュペーナーグラス。たっぷり乗った生クリームは甘くなくてクリーミーです  カフェで提供されるコーヒーは温かいものがほとんどですが、夏季には冷たいコーヒーが出てくるカフェも増えてきました。でも「Eiskaffee(アイスカフェ)」には気を付けないといけません。日本人が思い浮かべる冷たいコーヒーではなく、アイスクリームが入っているコーヒーです。ドイツ語で「Eis(アイス)」は「アイスクリーム」のこと。大きなガラスの入れ物に2~3スクープのバニラアイスクリームを入れて、その上からエスプレッソをかけたもので、その上にホイップクリームがたっぷり乗っているのが「Eiskaffee(アイスカフェ)」!ホイップクリームは甘くないですが、すごいボリュームなのでクリームなしで頼むことも出来ます。 アイスカフェもシルバーのトレイに乗せられてきます。エスプレッソの代わりにホットチョコレートを入れた「アイスチョコレート」もあります  カナダで良く飲まれている薄めのコーヒーは置いていないカフェもありますが、ポットで提供される「Portion Kaffee(ポーチョン・カフェ)」や「Verlängerter(フェアランゲーター)」は比較的薄めです。  アルコール入りのコーヒーもいくつかあります。ダブルエスプレッソにラム酒を入れ、ホイップクリームとチェリーを乗せたものは「Fiaker(フィアカー)」、ラム酒の代わりにコアントローを入れ、オレンジピールを乗せたものは「Maria Theresia(マリア・テレジア)」、チョコレートのモーツァルトリキュールを入れたものは「Mozart Kaffee(モーツァルトカフェ)」などですが、他にもカフェリキュールや杏のリキュールなどを入れたコーヒーもあります。 ラムのミニ瓶が付いてくる「フィアカーコーヒー」、お好みで好きなだけ入れて楽しみます  本当にたくさんの種類のコーヒーがあるので紹介しきれませんが、それぞれの名前の下に説明が書いてあるカフェや図説が付いているメニューを置いているカフェもあります。ウィーンに来たら、飲んだことのないコーヒーを是非試してみてくださいね。 カフェのコーヒーメニューの一例。かわいいイラストで分かりやすいですね

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ウィーンを代表するカフェ「カフェ・ザッハー」

 前回はウィーンのカフェについて色々な種類があることをご紹介しましたが、今回はこのカフェなしにはウィーンのカフェを語れない、代表的なカフェ「カフェ・ザッハー」をご紹介します。「カフェ・ザッハー」と聞いてピンと来ない方も、「ザッハートルテ(Sachertorte)」と言えば聞いたことがある方も多いかもしれません。「Torte トルテ」はドイツ語でケーキのことで、「ザッハー」というのはこのケーキを考案した人の苗字です。 ホテルザッハーのオリジナルザッハートルテ  ザッハートルテの歴史は1832年にまで遡ります。時の宰相、クレメンス・メッテルニヒがパティシエの見習いだったフランツ・ザッハーに特別なデザートを作るように指示しました。当時16歳だったフランツが作ったのがこのザッハートルテです。ザッハートルテはアンズジャムが塗られたチョコレート入りの重めのスポンジ生地を、チョコレート入りのフォンダンでコーティングしたケーキで、スポンジの間にもアンズジャムが挟んであるものです。多くの場合は砂糖なしで泡立てた生クリームが付いてきます。キメが細かくて甘くない生クリームと濃いめのザッハートルテは絶妙な組み合わせです。  1876年になると、フランツの息子、エドワード・ザッハーがラグジュアリーホテル「ホテル・ザッハー」を開業します。ザッハートルテは、そのホテルのカフェやレストランで提供されるようになりました。 ホテルザッハーの外観。世界遺産の旧市街地に建ち、クリスマス時期には輝くイルミネーションも楽しめます  第二次世界大戦後、オーストリアは10年に渡ってイギリス、フランス、アメリカ、ソビエトの4か国によって占領下に置かれました。ホテルザッハーは最初はソビエト、その後はイギリスの支配下にありましたが、6年後に経営者の元に戻され修復を経て営業を再開したのです。今に至るまで数回の改装を重ねていますが、世界中の王室・皇室メンバー、著名人たちにも愛され続けているホテルです。ホテル内にはいくつかのレストランやカフェ、バーが入っていて、ザッハートルテだけではなく朝から夜遅くまで食事やドリンクを楽しむ事が出来ます。 ホテルザッハー内のカフェザッハー。クラシックな内装がステキ  2003年には「Sacher Eck(ザッハーエッケ)」というモダンなカフェも登場、こちらも連日多くの人が列を作っています。 大きなシャンデリアが設置されたザッハーエッケの内装  春から秋にかけてはテラス席も多く設置され、向かいに建つウィーン国立オペラ座や道行く人たちを眺めながらのカフェタイムが楽しめます。 歩行者専用道路に設置されたテラス席。アイスを売るワゴンもかわいい  夏季には期間限定でアイスクリームも登場しますが、なんとザッハートルテ味もあります!ザッハートルテと同じく「Sacher」と書かれたチョコレートのプレートも乗っています。 濃厚な味が楽しめるザッハートルテのアイスクリーム  ホテル内にはショップも併設されていて、箱入りのザッハートルテやザッハーオリジナルのコーヒーや紅茶、食器などのザッハーグッズが売られています。オンラインショップもあり外国にも発送してくれます。空港の免税店でも販売されているほどお土産にも人気です。 ザッハーカフェに併設されたショップ ショップで販売されているザッハーオリジナルグッズ  ちなみにザッハートルテはホテルザッハー発祥ですが、今ではウィーンを代表するケーキとして知られ、ほとんどどのカフェでも食べることができます。通常のザッハートルテだけではなく、スポンジ生地にラム酒で味付けしてあるものや小さめサイズもありますし、カフェによってスポンジ生地、中に挟まっているアンズジャム、コーティングのフォンダンのレシピなどが違うので、カフェ巡りをしながら食べ比べするのも楽しいです。機会があれば是非お試しくださいね。 優雅で素敵なカフェタイムを楽しめます ◆ホテルザッハーのオフィシャルサイト

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ウィーンのカフェの種類 ~「ウィーンの伝統的なカフェ」とは~

 前回、ウィーンのカフェ文化の始まりについて少し触れましたが、今回は現在のウィーンのカフェ事情について。ウィーンには1000軒を超えるカフェがありますが、一言で「カフェ」と言っても様々な種類のカフェがあります。近年はその種類も数も更に増えているので、ハッキリと分けるのが難しかったりしますが、ウィーンのカフェの種類を紹介します。  まずはウィーンのカフェを代表する「伝統的なカフェ」から。一般的に「Kaffeehaus(カフェハウス)」と呼ばれるもので(「Kaffee(カフェ)」はドイツ語では「コーヒー」の意味)、ウィーンでカフェが始まった頃からの伝統を大事に受け継いでいるカフェです。大理石の丸いテーブルに、トーネットと言われる木を曲げて作った椅子が定番のインテリアで、カフェ内には多くの種類の新聞が置いてあります。 創業100年を超える伝統的なカフェハウス「ハヴェルカ」の店内。木製のコート掛けも伝統的なカフェの要素の1つ  伝統的なカフェハウスで働いている「給仕係」は・・・そう「ウェイター」ではなく「給仕係」という表現の方がしっくり来るいわゆるカフェの店員さんは・・・男性というのも特徴です。上着は白のジャケットの場合もありますが、黒のスーツにベスト+蝶ネクタイという正装です。コーヒーの種類も多く、コーヒーは水の入ったグラスと一緒に銀色のお盆に乗せられて運ばれて来るのも特徴です。なぜ銀色のお盆に乗せて水と一緒に運んでくるのかというのは「水が美味しいから」とか「コーヒーと一緒に水を飲むのが良いから」など色々な説があるようですが、その由来はハッキリ知られていません。銀のお盆には紅茶など他のドリンクも乗ってきますし、コーヒーとケーキが一緒に乗って来たりします。  伝統的なカフェハウスでなくても、銀のお盆の伝統を受け継いでいるカフェもありますし、女性が働いているカフェもあります。その辺りの境目はハッキリしていませんが、インテリアから、働いている人、コーヒーの提供の仕方まで、伝統的と言われるいくつかの特徴があると思ってください。 銀のお盆に乗せられて提供される「メランジェ」という種類のコーヒー。水の入ったグラスの上に乗せられたスプーンもポイント  それぞれのカフェにはそのカフェハウス毎の常連さんがいて、それぞれのお気に入りの席やコーヒーがあり、日常生活の一部分になっている人もいるほどです。近年は観光客で溢れ、昔ながらの雰囲気を楽しめなくなっているカフェも多いですが、有名店でなければ今でもその古き良きウィーンのカフェハウスの雰囲気を充分に楽しめるカフェもあります。音楽の都と言われるだけあって、昔からピアノが置いてあって生演奏が楽しめるカフェや、コンサートが開催されるカフェもあります。 元々は宮殿だった建物の中にあるカフェ、Cafe Centralにはグランドピアノが置かれ毎日のように生演奏が楽しめます  伝統的なカフェハウスの営業スタイルやメニューも時代と共に変わりつつありますが、朝早くから夜遅くまで開いていて、飲み物やケーキだけではなく、朝食・ランチメニュー、夕食、軽食と1日中いつでも&どんな目的でも利用出来るのも特徴の1つです。日替わりや週替わりメニュー、季節ごとの限定メニューなどもあり、ケーキの種類が多いカフェや食事が美味しいカフェなど、それぞれのカフェで特徴があります。  伝統的なカフェの中には「皇室御用達カフェ」もあります。オーストリア=ハンガリー帝国時代の皇室御用達とされてきたカフェです。今でもそれらの看板にはドイツ語で「皇室と王室」を表す「Kaiserlich und königlich」の頭文字を取った「K.u.K」が記されているのを見ることが出来るカフェもあります。そして自家製のケーキを製造し提供するカフェは「コンディトライ」もしくは「カフェコンディトライ」と呼ばれることもあります。 皇室ご用達だったカフェの1つ、Demelの看板にもK.u.Kの文字が  これらがいわゆる「ウィーンの伝統的なカフェ」と言われるものですが、ウィーンには他にも色々な種類のカフェがあります。10数年前から流行り出したこだわりのコーヒーショップ「サードウェーブコーヒーカフェ」、近年増えてきた本格的な「フレンチカフェ」、ホテルに併設している「ホテルカフェ」、一般的に親しまれているパン屋さんから、ここ数年で増えてきた素材にこだわるオーガニックパン屋さん併設の「ベーカリーカフェ」、カフェとしてだけではなく雑貨も売る「コンセプトカフェ」などその種類も時代と共に変化がありますが、コロナ禍・コロナ後はまた更にカフェが増えています。 学生時代からの友人が自分たちの好きなものを集めて作ったお店APA-TOはコーヒーやスイーツもあり。働き方も含め形に捕らわれないスタイルのカフェ  ウィーンのカフェを長年追っている私でも追いつけないその変化を見ながら、ウィーンには本当にカフェ文化が根付いていて、若い世代にも受け継がれていっている事を改めて感じています。今回は「ウィーンの伝統的なカフェ」を中心に、ウィーンのカフェの種類をご紹介しましたが、次回からはそれぞれのカフェやカフェメニューなども紹介していきたいと思います。

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ウィーンよりこんにちは

「バンクーバー新報」が新体制でスタートするにあたり、新たにコラムを書かせていただくことになりましたバレンタ愛です。第一段の今回は、自己紹介と、私の住むウィーンの紹介から始めさせていただきます。 ©BBC 中欧ヨーロッパに位置するオーストリアの首都、ウィーンに2004年から住んでいます。よく間違われますが、南半球のオーストラリアではなく、ヨーロッパのオーストリアです。本当に間違われることが多くて、日本からオーストリアに出した郵便が、オーストラリアに行ってしまうこともあります。みなさんもオーストリア宛ての郵便を出すことがあれば、住所の最後に「Austria, Europe」と記載されることをお勧めします。オーストリアのお土産でも「No Kangaroos in Austria」と自虐的なロゴが入ったものまであるくらいです。知名度が圧倒的に違うので仕方ないのですが、ちょっと悲しいエピソードは色々あります。 ウィーンの街の中心に建つシュテファン大聖堂。1359年完成 そんなヨーロッパの中では知名度はあまり高くないかもしれないオーストリアですが、「音楽の都」と言われるウィーンから、毎年元旦に楽友協会の黄金の間で開催され、世界各国に中継されるニューイヤーコンサートはご存じの方も多いのではないでしょうか?そして首都の「ウィーン」という地名は「オーストリア」よりも聞いたことがある方もいるかもしれません。この日本でも知られている地名「ウィーン」は、実は英語ではなくドイツ語で、ドイツ語表記は「Wien」となります。英語は「Vienna(ヴィエナ)」、ご存じの方もいるかとは思いますが、「Vienna=ウィーン」ということに驚かれる方も多いです。 王宮前のミヒャエル広場と、そこを通る観光馬車 旧市街を囲むリング通り沿いに建つウィーン国立オペラ座 ウィーンの人口は、モントリオールの約170万人より少し多い194万人。ウィーンの街は23区に分かれていて、1区は東京都台東区、9区が兵庫県宝塚市、12区が岐阜県岐阜市、13区が大阪府羽曳野市と兵庫県丹波市、17区が東京都府中市、19区は東京都世田谷区、21区が葛飾区、22区は荒川区とそれぞれ姉妹都市になっていて日本との関わりも深いです。ウィーンの街の起源はローマ帝国時代まで遡ると言われていますが、今でもその時代の遺跡を見ることができます。今、見られる街並みは中世以降の建物が中心で、第二次世界大戦では大きな被害も受けましたが多くの建物は修復されています。古いものでは740年頃に建設されたルプレヒト教会など、歴史ある建物も残されていて、街の中心部にある旧市街地(1区)は「ウィーン歴史地区」として世界遺産にもなっています。 世界遺産の旧市街地に建つペスト記念像 ウィーンは、街の美しさとそこに根付く音楽だけではなく、「カフェ」でも有名です。ウィーンにおけるコーヒーの歴史は、元を辿ると17世紀後半にあったオスマン帝国と、オーストリアを含むヨーロッパ各国との「大トルコ戦争」まで遡ります。1683~1699年の16年間に及ぶ長い戦争でしたが、1683年の大きな戦い「第二次ウィーン包囲」で、オスマン帝国軍がウィーンを包囲しました。その際にオスマン帝国軍が残していったコーヒー豆を元にして、1685年に初めてのカフェが開業されたと言われています。 近世では文化人や芸術家たちの交流の場、社交の場として利用されていたカフェですが、現代にもその流れは残っていて、単にコーヒーやケーキを楽しむ場所としてだけではなくビジネスミーティングや社交の場としても利用されています。そんな事から、「ウィーンのカフェ文化」は2011年にユネスコの無形文化遺産になりました。今では観光客にも人気の有名店や、歴史あるオーストリア皇室御用達カフェだけではなく、サードウェーブコーヒーショップまで、ウィーン市内だけでも1000軒を超えるカフェがあり、地元の人々の生活の一部となっています。今後のコラムでは、そんな無形文化遺産になっているウィーンのカフェやカフェ文化を中心に紹介していきたいと思っています。 『芸術とカフェの街 オーストリア・ウィーンへ』イカロス出版より発売中 最後に簡単に私自身のご紹介をすると、オタワに2016年夏~2020年初めまでの3年半ほど住んでいた事もあり、その時の縁で今回声をかけていただきました。バンクーバーは、オタワから日本に帰国する際に乗り継ぎで立ち寄ったことがあり、空港から出て、街中やマーケットなどを散歩したいい思い出があります。そんなバンクーバーに思いを馳せながら、ウィーンからコラムをお届けしていきたいと思います。

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