G7広島サミット レガシー・プロジェクト「若者たちのピース・キャラバン」で日本とカナダの若者が議論・交流会
G7広島サミットの火を絶やさないために G7広島サミット レガシー・プロジェクト「若者たちのピース・キャラバン」とは、広島県が行う事業で『へいわ創造機構ひろしま』が実施(後援:外務省)。G7広島サミット(今年5月19日から21日に開催)の成果を受けて、広島を中心とした日本の若者を日本を除くG7各国に派遣し、現地の若者との議論・交流を通して広島への関心を更に高めつつ、核兵器問題をはじめとした幅広い地球規模課題の解決に向けた機運向上を図ることを目的としている。 アメリカ・カナダへの派遣は11月12日から19日に実施。サンフランシスコでの行程を終えバンク―バーに到着した日本の大学生・大学院生5人は、15日に在バンクーバー日本国総領事館で岡垣さとみ首席領事と久田桂嗣領事から日加関係やカナダ情勢、G7広島サミットなどについてのレクチャーを受けた。翌16日はブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)内 C.K.Choi ビルの会議室で、カナダにおける若いリーダー育成のための組織『ヤング・ディプロマッツ・オブ・カナダ』(Young Diplomats of Canada)から参加の5人とワークショップに参加。17日にはバンクーバー博物館、日系文化センター・博物館を訪問し、日系カナダ人の歴史について学んだ。 日系文化センター・博物館を訪問した「若者たちのピース・キャラバン」参加者たち(左から)ルイーズ阿久沢(日系センター理事)、奥田弥陽乃さん、鬼木優里さん、ケーラ後新門フォスター事務局長、山田杏菜さん、神田実鈴さん、四反田直樹さん(写真提供: へいわ創造機構ひろしま) 日本から派遣された大学生・大学院生5人 奥田弥陽乃(ややの)さん(広島大学1年)は、広島の大学生として何かできないかと考え、夏休みに模擬国連に参加。同じころ、このプロジェクトに応募した。「国際政治に関心があり、政治という手段を用いて平和で協調性のある世界を構築したいと考えています」山田杏菜さん(京都大学2年)は大阪で生まれ育ち、高校生のときに2年半アメリカで暮らした。「授業で原爆について話し合う時間があり、核兵器問題について興味を持つようになりました。覇権国の異なる立場や歴史的背景を理解しながら、核軍縮と国際平和に向けた協力の重要性について主張したいです」神田実鈴(みすず)さん(広島大学大学院修士2年)はG7広島サミットでは、メディアセンターで通訳のボランティアをした。その後、7月に岸田総理大臣が広島を訪問した際に、若者代表として総理との懇談会に出席した。「具体的な政策レベルでの対話というのはむずかしいですが、若者であれば本音の議論ができるのではないか、自分たちに何ができるか、議論を深めたいと考えています」 鬼木優里(おにき・ゆうり)さん(京都大学2年)は中学・高校時代を広島で過ごし、ドイツの高校に2年間留学した。広島では慰霊碑巡りの案内や核兵器廃絶のための草の根運動に参加した。「核兵器をはじめとした大きな課題に対して私にできることはなにか、また原爆を落としたアメリカという相手国のことを知る機会になるのではと、この派遣を通して模索していきたいと考えています」 四反田(したんだ)直樹さん(京都大学4年)は工学部でAIを使ったロボット制御の研究に取り組んでいる。「自分のやっている研究が軍事利用されるのではという問題もあり、自律ロボットが次の核兵器にならないためにはどうしたらいいかということを議論できればと思っています」 「世界を非平和にしている要素は何ですか?」 11月16日、政策デザインワークショップの議題は「世界を非平和にしている要素は何ですか?」で、日本とカナダの若者10人が、核兵器、ウクライナ支援、中国対策、エネルギー危機、食糧、地球温暖化などについて議論。その他の関心事についても意見を述べあった。 終了後に感想を聞くと「カナダでは先住民に対する問題意識が、思っていた以上に高いことを実感した」「日本では自然災害というと地震や津波を考えるが、アルバータ州の人が気候変動を挙げ、大雨による壊滅的な洪水の話をしたのが印象的だった」「日本のジェンダー問題について聞かれたがうまく答えられなかったので、今後の課題にしたい」など。それぞれが今後も地球規模課題の解決に向けて模索し、平和の実現のために行動していきたいと語った。(取材 ルイーズ阿久沢) 政策デザインワークショップ終了後、閉会の挨拶をする在バンクーバー日本国総領事館の岡垣さとみ首席領事(Photo by Louise Akuzawa ©...