バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)が4月15日にスプリング・コンサートを開催する(メディアスポンサー:バンクーバー新報)。毎年、春のコンサートは岡部守弘記念とし、VMO音楽監督で首席指揮者のケン・シェさんが、恩師である故岡部守弘指揮者に捧げてタクトを振る。
今年のソリストは、デビュー以来35年にわたり魅力を発信し続けるピアニストの仲道郁代さん。バンクーバー公演を前に、日本からメッセージを寄せてもらった。
ベートーヴェンが込めた思いを新たに
ケン・シェさんが「美しく抒情的で、表現豊かな演奏をするピアニスト」と絶賛する仲道郁代さん。今回演奏するのは、仲道さんが長い年月研究を続け、演奏活動の核となっているベートーヴェンのピアノ協奏曲の中から、第5番変ホ長調作品73『皇帝』。
「1809年ナポレオンがウィーンに侵攻し、ウィーンの街は砲撃を受けました。その際、ベートーヴェンは地下に逃げ込み、耳を塞ぎながら恐怖に慄いた。そんな中、死を思って書いたというのがこの協奏曲です。いわゆる華麗な協奏曲というイメージを持たれる曲ですが、ベートーヴェンが込めた思い、メッセージを、新たな光を当てて捉えてみたいと思っています」
待望のバンクーバー再訪
実は仲道さんは、2005年と2006年に当地で演奏しており、そのときのピアノリサイタルを覚えている人も多いようだ。
2018年からは『The Road to 2027』 というリサイタル・シリーズを進行中。「春はベートーヴェンの作品を中心とした音楽による哲学を聴くプログラム、秋はピアニズムを追求するプログラムです。私の演奏活動の更なる景色を見せてくれることになると思っています」
「ケン・シェさんとは、音楽について忌憚なく話し合い、作ることができると思います。今回、新たな皇帝像を一緒に作り上げることを楽しみにしています」とのこと。
仲道さんのベートーヴェン。VMOとの共演をお見逃しなく。(取材 ルイーズ阿久沢)
仲道郁代(なかみち・いくよ):名実ともに日本を代表するピアニスト。バイエルン放送響、フィルハーモニア管等、海外の楽団とも共演多数。ベートーヴェン没後200周年の2027年に向けて「仲道郁代 The Road to 2027リサイタル・シリーズ」を展開している。令和3年度文化庁長官表彰、ならびに文化庁芸術祭「大賞」を受賞。
VMO バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ
岡部守弘記念 スプリング・コンサート
4月15日(土)7:30PM開演
クイーン・エリザベス・シアター
指揮:ケン・シェ
ソリスト:仲道郁代(ピアノ)
ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第5番
ベートーヴェン交響曲第5番
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