2023年1月以来、継続的に減少していたカナダの新型コロナ感染者数だが、7月から徐々に増加している。カナダ公共保健局や感染症専門家たちは、過去同様9月に新学期が始まり次第、感染が急増する可能性があると注意喚起している。
これはブリテッシュコロンビア州、オンタリオ州などの下水中のウイルス調査でも見られる傾向であり、州や市の保健所が発表する感染者数、病院入院者数からも読み取れる。パンデミック終了宣言後、日本では5類に格下げされた新型コロナウイルスだが、カナダでもすっかり風土化し、インフルエンザ並の感染症扱いである。RSVも含めた3つの感染症による医療ひっ迫を回避するためにも、秋に新ワクチンが承認され次第市民に接種が促される。
この夏多くの国で見られたオミクロン変異株がEG.5である。それを含めたXBB系統に対応した新ワクチンが10月の頭にはカナダ保健省に承認され、施設高齢者など重症度リスクの高い市民からワクチン接種が始まる。すでに過去のワクチン接種や感染でほとんどの人が免疫を獲得している中、新ワクチン接種は個人の健康状態にそって前接種から6ヶ月以上経った市民に促される。インフルエンザワクチン同様、接種率は10人あたり4人ほどではないかと専門家は見ている。
感染対策としては従来どおり、マスク着用、人混みを避ける、こまめな換気、手洗い等である。カナダ政府はすでに州政府を通しての一般用抗原検査キットの無料配布を停止しており、秋からの感染症シーズンに向け医療体制が懸念されている。